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2005年01月22日

★『十二夜』(DVD)

彩の国シェイクスピアシリーズ NINAGAWA×SHAKESPEARE DVD-BOX

<演出>
蜷川幸雄
<出演>
富樫真・・・ヴァイオラ(シザーリオ)
鶴見辰吾・・・オーシーノ公爵
宮本裕子・・・オリヴィア
石井愃一・・・フェステ
大森博・・・サー・アンドルー
鈴木豊・・・セバスチャン
土師孝也・・・キューリオ/神父
清水幹生・・・船長
たかお鷹・・・フェイビアン
根岸明美・・・マライア
木場勝巳・・・サー・トービー
壌晴彦・・・マルヴォーリオ
沢田豊志・・・アントーニオ
白井圭太・・・ヴァレンタイン
福田潔・・・役人
新川將人・・・役人
廣哲也・・・役人
<公演>
1998年10月9日~10月31日
<ストーリー>
嵐の海で遭難し、船から放り出された双子の兄妹、セバスチャンとヴァイオラ。イリリアという国に漂着した妹ヴァイオラは、兄の服装を真似て男装し、領主オーシーノ公爵の小姓となる。公爵は貴族の令嬢オリヴィアに恋をしていたが、彼女は喪中を理由に求愛を拒否しており、逆に公爵の恋の使者として屋敷を訪ねたヴァイオラに、一目惚れしてしまう。しかし、実はヴァイオラも公爵に密かな思いを抱いており、結果として何とも複雑な片思いの三角関係が出来てしまった。やがて、死んだと思われていた兄セバスチャンが、別の船に救われてイリリアに上陸。町では瓜二つの姿をした兄妹の取り違いが起こり、勘違いが勘違いを呼んで、騒ぎは次第に大きくなっていく・・・・・・・。 <DVDカバーより>

散々悩んだ挙句、Amazonで値下げされていたので購入しました!
でもこの値段だったらもう少し立派な装丁にしても良かったんじゃない?って思ってしまう…贅沢?
だってロード・オブ・ザ・リングのSEEだってもっと安くて立派なんだもの・・・

さて『十二夜』、予想以上の舞台でした!
現在の蜷川舞台にどっぷり浸かっているわたしにとって、6年前の蜷川舞台が一体どのように感じられるのか…
正直すこし不安なところもありました。蜷川演出が好きだ好きだと言っていますが、
現在のカンパニーのメンバーが好きで劇場に足を運んでいるという理由も大きいので、
もしも過去の作品が肌に合わなかったら蜷川舞台ファンとして自信を無くすかも・・・と思ってしまったのでした。

富樫真さん(ヴァイオラ)の演技には多少未完成なところを感じましたが、体当たりで演じている力強さが好印象。
初々しさが役柄にはよくあっていたとは思うのですが、周りの面々の中では少し浮いてしまったかも?
素晴らしいのは現在でも第一線で活躍している俳優たちが脇をがっちりと固めていることだと思います。
個人的に壌晴彦さん・・・笑わせて頂きました。
現実なら「えっ、気持ち悪い・・・」と思ってしまいそうな人柄も、シェイクスピア喜劇の中では不思議と平気。
壌さんは『オイディプス王』のテイレシアス役がとても印象に残っていたけど、マルヴォーリオも忘れられなさそう。

舞台の形もまた他で見ることのないようなものでした。
ほぼ正方形と思われる舞台に、舞台裏から繫がる渡り廊下が2本、その全ての縁に等間隔に蝋燭が並びます。
どこか、これから始まる舞台は"見せるためのお芝居"だと意味づけしているような雰囲気。
多分、三方から客席に囲まれる舞台だったのではないでしょうか。左右も客席に見えました。
上演中は、2本の渡り廊下をうまく使って役者・黒子が場面場面をつないで作り上げていきます。
場面・場所に合わせて舞台上に小道具を置いたり、敷物を敷いたりするのですが、
暗転での配置の絶妙さが、観ていてとても気持ちよかったです。

シェイクスピアの恋愛喜劇に触れるのは昨年夏の『お気に召すまま』に続いて2作目。
どちらも複雑に絡み合った登場人物たちが、これまた複雑な恋愛模様を描いています。
オリヴィアへのオーシーノ公爵の誠実だけれど一方的でしかない不器用な恋、
オーシーノ公爵へのシザーリオ(ヴァイオラ)の打ち明けられない切ない恋、
シザーリオ(ヴァイオラ)へのオリヴィアの情熱で迫る切実な恋、
オリヴィアへのマルヴォーリオそしてサー・アンドルー・エーギュチークの思わず笑ってしまうような道化的な恋・・・
1度観ただけでは整理できない!
他にもマライアやセバスチャンなど、登場人物がそれぞれに恋心を抱いています。
どうにも収拾の着きそうにないこれらの恋が、だんだんと収斂されていく見事さが、
シェイクスピアの恋愛喜劇の面白さだと思います。

演劇批評なんてできる器ではないのであまりしません。なので個人的な感想を・・・
先日、セバスチャンを演じた鈴木豊さんに『十二夜』の話題を出したとき、
「28歳のときの作品だから」と苦笑してらっしゃいました。
ほぼ6年前・・・改めて鈴木豊さんの役者としての歩んできた道の長さ実感し、
憧れると同時に少し悔しくも思うのでした。私は6年前に何をしていたのっ?と。
もっと早くこの世界に、蜷川先生に、そして鈴木さんに出会いたかったという気持ちが大きくなります。
一期一会と言われる舞台との出会い。
映像化・再演などもちろんあるけれど、過去の作品には触れることはできません。
だからこそ、いまたくさんの素晴らしい舞台に出会えることを感謝したいと思うのですよね。
・・・話をもとに戻します・・・(笑
セバスチャンはヴァイオラの双子の兄であり、最後にはオリヴィアと結ばれます。
舞台はヴァイオラを中心に描かれるので登場する時間はそう長くはありませんが、彼も重要なキーパーソン。
あ、ヴァイオラは"兄の姿を真似して男装した"ので、ラストでは同じ衣装のヴァイオラとセバスチャンが並びます。
その画がえらくお気に入りでした。再開のシーンは喜劇の中であってもぐっときてしまう!
長い癖毛をうなじの後ろで束ね、白シャツ・千鳥格子柄のグレイのパンツに腰には帯剣、ブーツのスタイル。
も~文句なしに素敵なのですっ!
登場シーン、海辺に走って来て、アントーニオと親しげにしゃべり、そんな愛すべき好青年っぷりが新鮮で自然。
ヴァイオラの苦悩も知らずオリヴィアに一目惚れして仲睦まじく・・・ちょっとおバカな感じなのもいいんです。
セバスチャンの出る場だけ何度も見直したのは言うまでもなく!

by tiduru at : 2005年01月22日 18:34

| [そのほかの作品][舞台:蜷川演出]

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