« 『お気に召すまま』 チケットが届きました | メイン | 『お気に召すまま』 一般発売 »
2004年03月29日
★『シブヤから遠く離れて』
作 :岩松 了
演出 :蜷川 幸雄
出演 :二宮和也 小泉今日子 勝村政信 杉本哲太 蒼井優 勝地涼 清水幹生 立石凉子 他
公演 :2004年3月6日~3月30日
ストーリー :廃墟になった家に思いを残す青年と、蝕まれはじめたわが身をもてあます女の、現前化しない「愛」の物語。 <脚本カバーより>
観てきました。久しぶりのコクーンです。
この公演は…もちろん素晴らしい舞台だったのだけど、ちょっといまのわたし好みの蜷川舞台とは違ったような。
シェイクスピアの観すぎなのでしょうかしらね。
お話の筋はとても複雑で不可思議。”舞台”というよりも”ストーリー”として気になる作品かもしれません。
舞台には少し古びた感じの家が設置されていました。
その庭には枯れたような(設定では炭化したヒマワリとのこと)ヒマワリがたくさん生い茂り客席にはみ出し、
隅のほうには錆びた自転車やビールビンのケースやらが転がっています。
一見身近で懐かしく、けれどこれからこの舞台の上で起きる出来事かどこか現実離れしているのだという
予感さえ匂わす不思議なセットに、客席に着いた観客たちは思わず開演前から
『シブヤから遠く離れて』の世界に引き込まれてしまう・・・
転がっている小道具はどれも現実的なものばかりなのに幻想的な気もして、わたしは少し混乱してしまった・・・
今まで私が観てきた蜷川舞台とは毛色の違った、ごみごみとしたセットでしたが、
この舞台には必要な演出だったのだと思います。
二宮くんは嵐の中の演技派とも呼ばれている通り素直で真っ直ぐな印象の演技。
難しい役だったと思いますが、上手いこと自分のものに出来ていたのではないでしょうか。
演じるナオヤはこの舞台の中心的な存在ですが、
最後まで見ても彼が何者だったのかはなかなか理解が出来ない、そんな役でした。
最初は少し弱気で控えめな少年なのだけど、だんだんと雰囲気や口調が変化していく・・・
はっきりとは述べられないけれど、どうやら彼はとんでもない過去を持っているらしいということが判ってくる。
断片的な情報だけが観客には与えられ、何とか紐解こうとするのだけど、
どんどんと新しい衝撃が波と押し寄せるものだから絡まるばかり。
そのスピードは終盤へ向かうにつれてアップして行きます。
だから終演後はまるでジェットコースターに乗った後のようにしばらくぼーっとしてしまいました。
ストーリーについてはまだ消化できていないと思うので深くは触れませんが、物凄くドキドキしました。
「まさか、まさか・・・」と思っていることがすべて舞台の上で起こるのです。
時には想像以上の衝撃が。ラストもそう。ガツンと殴られたようなショックに続いて、暗転、
キーでもあった赤い花だけが舞台の上に浮き出され、雪が降り、大音量で似つかわしくない音楽が流れる・・・
最後の曲が頭に残って、肝心な舞台の中身があまり思い出せない・・・ちょっと苦しい思いをしました。
そして相手役小泉今日子さんは、二宮くんをリードしつつとても彼の演技に合っていて自然体なふたりでした。
小泉さんの出演はおそらく『マンハッタン・ラブストーリー』しかまともに観た事は無かったので、
がらりと違う、女性の魅力を全面に出すマリーは新鮮でした。
役柄も小泉さんもとても色っぽくて、少年の面影を残す二宮くんとの絡みは思わずどきどきしてしまうほど。
美しくてけれど奔放なマリーは小泉さんだから出来たのかな、と思います。
あとは勝地涼くん。初めて知ったのですが、すごくわたし好みな演技をしてくれました。ナオヤとの対話がよかった。
今後も注目していきたい子です。二宮くんよりオーラは好きかもしれません。
ナオヤの友達のケンイチ、変化をするナオヤに対してケンイチは変わらない、その対比の表現が良かった。
ケンイチもまた不思議な存在で、観客はケンイチとはいったい何か?と考え思い巡らせなければならない。
序盤、ぽ~っとしているナオヤと対極にとても荒々しいケンイチ。
その2人の関係は「昔の友達」という情報は会話で与えられても、それ以上のものがあると察しがつく。
ナオヤがケンイチの部屋を覗いたときに響く言葉、「お前に刺された傷が痛いんだよ」という台詞ではっとします。
ケンイチのナオヤに対する荒々しさや対話を観ていて感じる、
”何かがのどに詰まっているような息苦しさと不快感”の理由が唐突に与えられたような。
…その一瞬が印象深かったです。
どこからどこまでが現実で、どこからどこまでが非現実なのか。
見た後は、頭が追いつかなくてぽーっとしてしまいました。
個人的なイメージですが、『ハムレット』も『タイタス』も私達の生活とはかけ離れたシーンでのお話なのに、
演出のせいかどこか自分達もその場に引き込まれたかのような感覚に陥るのだけど、
『シブヤ』はどちらかというと最初から最後までずっと観客を突っぱねていたような気がします。
客席と舞台の上は完全に切り離されたもので、まるで六方ガラス張りの水槽の中を覗いているよう。
あのラストは好きです。
ナオヤが「成長のとめっこしてただけじゃないか」と時計を外して笑い、はらはらと振る雪。
どんでん返しで頭がぐるぐるになってる観客に、追い討ちをかけるような大音量の明るい音楽。
今まで観ていた内容からするとどうも違和感のある音楽がますます頭を混乱させる!
でもあの一瞬に私は「あ、この音楽は好きかも…」なんて呑気に考えたりもしたのでした。
どんどん大きくなって、突然消えて、ゼラニウムと雪にのみライトがあたり、ふっと全てが消える。
腑に落ちないけれどこれで終焉だと言い聞かされる。私はその余韻をそのまま静かに、コクーンを出たのでした。
この日は嵐かジャニの子が来てたみたいで、1階席がとてもそわそわしてました(わたしは2階席)。
あとはの内野聖陽さんがいらしてました。帰り際ロビーですれ違って、最初どうして蜷川舞台に内野さんが?
と思ってしまいましたが、『ぺリクリーズ』主演でしたね。
わたしもまだまだ・・・帽子を深く被っていたのですが、ほくろとか、雰囲気で分かりました。ちょっとラッキーでした。
あ、ジャニといえば、劇場入りするまえに居たカフェで、「ペンライト使わないのにびっくりしたの!」と興奮してた女性にこっちがびっくり。嵐ファンは危うくコクーンでニノの名前を叫びペンライトを振るつもりだったらしいですよ。
あ、まだ『青の炎』観てないんですよね。録画したDVDはあるのだけど・・・
by tiduru at : 2004年03月29日 23:39
| [そのほかの作品][舞台:蜷川演出]